原田 泳幸の名言集
2014/03/18
原田 泳幸(はらだ えいこう、1948年12月3日)
日本の実業家。日本マクドナルドホールディングス株式会社、日本マクドナルド株式会社代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者 (CEO)。
長崎県佐世保市出身。元アップルコンピュータ株式会社代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ社副社長。現在の妻はシンガーソングライターの谷村有美。2005年6月に「原田永幸」から「原田泳幸」を自称(戸籍上の名前は永幸のまま)。これは1994年春頃、アップルコンピュータ在籍時での発言「泳げる頃にはNewtonの日本語版が見られるでしょう」に由来する。
マクドナルドから社長として迎えるという打診がありヘッドハンティングされた事で、アップルを退社したが、アップルの主力製品マッキントッシュコンピュータは略称・愛称がマックであった為、この移籍はマスコミから「原田氏、マックからマックへ転身」等と報道された。
日本マクドナルドでは前任の創業者社長である藤田田が進めてきたバリュー戦略の見直しを次々に打ち出し、行き過ぎた安売りで失墜したマクドナルドのブランドイメージの建て直しに奔走した。日本マクドナルドを短期間で建て直した経営者として実業界での評価は高く、2009年12月に「GQ Men of the Year 2009」の一人に選ばれた。
- 現実にしてしまったことを「なかったことにする」のは不可能です。いくらくよくよしたところで、失敗したという過去の事実を塗りかえることはできません。でも、良い方向に転じることは可能です。失敗をチャンスと捉えて、前進する姿勢こそが、また新たなビジネスチャンスを生むのです。
- 若いときにキャリアを計画的に伸ばそうとすると、視野が狭くなる。時折、講演会に出席すると、「計画的に人生を生きたい」という若者に出会います。しかし、キャリア・デベロップメントにおいて、大切なのは、次の三つだけなのです。・日々ベストを尽くす・何事にも一番になる・本質を見抜く力を養う
- キャリアを一生懸命考えて、プランを立てることにはあまり意味はない。キャリアは自分で探しに行くものではないからだ。つまりキャリアは、自分の仕事を全力で日々全うすることの連続のなかで、「巡り合わせでやってくる」ものです。自分で探しにいくものではありません。
- 商売人は商売の嗅覚を持つんだ、それは現場にしかないんだ
- お客様に新商品開発のヒント(ニーズ)を聞いた時点で、すでに経営の姿勢とビジネスマンとしてのあり方を誤っている。自ら市場のトレンドをつくり、社会に変革をもたらす。
- 消費者は物を買うときに、売り手の言うことは四七%、メディアの言うことは五三%、他の消費者の言う事は九十%信じる
- これまでの業績向上に甘んじることなく成長を加速させ、さらなる発展に勤める。成功体験とチャレンジは、全従業員の誇りであり、一人ひとりの生涯の財産になる。
- お客様を囲い込むのではなく、お客様が中心となって企業文化を醸成する。企業が信頼や信用を訴えても、お客様は企業を信頼しない。お客様自ら信頼し、信用する企業になることが、究極のブランドづくりである。
- 計画というのは、いったんしてしまえば、誰が見ても「当たり前」のものになる。しかもマクドナルドの最高機密の戦略は、どんな社員が読んでも一瞬にして完璧に理解できるように、すべて「絵(ビジュアル)」で示されている。
- 一人ひとりが組織における価値を持ち、それぞれが最も有機的に連動し、効率よく活動する。単に肩書きで人をコントロールする組織文化は、企業成長の大きな妨げとなる。
- ルールというと堅苦しく聞こえるかもしれない。しかし、最低限、何を守るべきかというルールは、逆に仕事を楽にする。
- マクドナルドのマニュアルも、「金太郎飴のようだ」と世間で揶揄されていた時代がありましたが、私は次の様に考えています。マニュアルはバカをつくるものではなく、最低限の基礎づくりとして必要な物だ。クルーがより高いレベルに達するためにマスターしておくべき必修科目である。
- 自分の評価を落とすのも、人生の中で大事な時もある。
- 結果が出た時にしか誰も理解しない。結果が出るまでやるしかない。
- 戦略というのは、あれをやれ、これをやれと言うのは簡単なんです。何をやらないかを決めるのが大変。
- 世の中の変化についていくなんてとんでもない。ついていったら負けますから。トレンドを作らなければいけないんですよ。
- 20代は何でもやれ。何でも吸収しろ。30代は自分の人生の方向を決めろ。40代は成し遂げろ。
- いい社員ばかりでは元気がなくなる。いろんな人がいてチームなんです。
- やみくもに「やればできる」というのではなく「これはいけるぞ」という経験則に基づいたある程度の確信があるからこそ、リーダーは「やるぞ!」と言って、強いリーダーシップを発揮して部下を牽引できる。そもそも「できるわけない」ところにこそ、ビジネスや成長のチャンスがあるんですから。
- 企業にとってのマイナス要素をそのままマイナスととらえるのが一般常識だとするならば、日本マクドナルドは「何が何でもプラスに変える」という非常識な思考をすることを常識にしたいと考えています。マイナス要素は、前向きな思考一つでビジネスチャンスに変わるもの。「しょうがない」とあきらめると、永遠に改善されない問題点として残るだけですが、「ビジネスチャンスとなる」と思って克服に乗り出せば、新たな成長を生むのです。
- 決定したことをすぐやれ、はもう古い。決定しなくてもいいから、いいと思うプランはすぐに実行しろ。実行しながら検証して、ベストの結果を出せ。それが、今求められているスピードだ。
- 私はマクドナルドを「お客様にいちばん愛される企業」にしたい、そこを究極のやりがいとしています。この目標にもまた、ゴールはありません。でも、その目標に向かってやるべきことはたくさんあるし、挑戦テーマは無限にあります。
- 人間は、当たり前のことがいちばんできず、当たり前のことをいちばんやりたがらない性質を持っている。基礎ができてもいないのに、つい応用問題に進もうとしたがるものだが、基礎がしっかりしていなければ高度なことなどできるはずはない。
- スピードとともに重要なのは、変化と成長の「持続」である。
- 知識や経験は、ややもすると思考を停止させます。新しいことを考えるときに、知識も経験もあえて捨て、懸命に思考できるかどうかも、成長のために必要な能力の一つです。
- 成功の背景に疑問を持ち、真の原因を追究せずして、どうしてそれが成功だったと言えるだろうか。ただ「売れた」「売れました」━━その結果だけで終わりにしたら、その成功体験は残念ながら次のビジネスには何の役にも立たないでしょう。
- 「リスクが大きい」と思うと、すぐ「不可能だ」と判断しがちです。でも、チャンスは不可能の顔をして私たちの前を行ったり来たりしています。つまり、チャンスは、不可能のなかにあることが多いのです。
- 経営者の仕事とは、簡単に言うと、「一瞬のひらめきを検証して、仕組みをつくり、人を説得して動かす」ということに尽きます。
- 自分の「強み」を常に明確に認識し、それを強化する。企業の業績の向上はもちろん、人間としての成長も「強みの再認識」によってもたらされるのです。
- 企業理念がしっかりしていないと、戦略は「生き物」になりません。企業理念とマネージメントがしっかりかみ合ってこそ、戦略は成功するのです。
- 日々、今の仕事、今の課題、それを期待以上にやり遂げる。これを繰り返していくと、キャリアは皆さんが作っていくのではない。世の中から皆さんに巡り会いで皆さんのところにキャリアがやってくる。
- 人生の中の仕事ですから、仕事の中の人生じゃないんですから。
- 痛みを伴わない改革はありません。戦略の方向性とともに、どういう痛みを伴うかを社員にきちんと話しました。そしてスタートしたら、成功するまで貫くことが重要です。
- 私どもにとって一番うれしいのは、お客さまの喜ぶ顔です。喜んでいただくために、いかに新たな価値を提供できるかです。ただ、「やり遂げた」と思うのは危険です。「もっと」「さらに」という継続や連続が企業の力になります。
- 何もやらずに敗北者になるか、やって失敗して敗北者になるか?二者択一だったら後者だ。
- アップルの苦境はウインドウズが原因ではない。不振の原因は全て社内にある。(アップルコンピュータ日本法人社長就任時の言葉)
- 僕自身も、変われなくなったらこの席にはいられません。7年間、この会社で経営を担っていますが、僕は毎年、違うことをやっている自信がありますから。
- 見える数字だけで事業を動かすと失敗する。心理を正しく読み続けなければ、会社は即座に脳死する。
- 自社の都合だけで価格を決めたら失敗する。顧客感情と、利益のバランスをよく見極めて判断しなければ上手くいかない。
- 「売れた」と「売った」は違います。何としても「売る」。そのためにサイエンス(科学)とサイコロジー(心理学)を駆使して、知恵を絞って新たな顧客価値を生み出し続ける。勝ち続けるための道はそれ以外ないと思っています。
- 「マクドナルドらしさ」から逸れない範囲であれば、どんどん新しいことにチャレンジしろと社員たちに伝えています。イノベーションは自己否定から始まると思っていますので。
- 「マクドナルド、コーヒー無料キャンペーン」は2年越しで実現した私のアイデアです。去年は店の外でサンプリング・カップ(試飲品)を配っていましたが、あんな普通なことでは駄目です。店の中で無料で提供するから話題になるのだと社内の反対を押し切って、強引に実施したところ結果は大成功。キャンペーン期間中は客数だけでなく客単価も上がりました。これから戦力になるのは、こういうクレイジーな発想ができる人なのです。
- 全社一丸となって残業ゼロに取り組んでいると、資料の1ページ目から読み上げるような会議や、パワーポイントにワープロの文章を貼りつけて読ませるといったプレゼンテーションは自然と減り、その分生産性は確実に高まってきました。いまでは全社員の平均残業時間は一桁です。しかも、2009年上半期には過去最高の営業利益を叩きだしました。仕事は時間ではありません。質とスピードなのです。
- 午後6時以降残業禁止導入は、反発もありました。毎月100時間も残業してようやくこなしていた量を、6時までに終わらせられるはずがないというわけです。しかし、アップルコンピュータ・ジャパン時代に残業ゼロを実現していた私には、それが可能だということや、そのために徹底的にムダを排除し、スピードを上げ、密度を濃くすれば、延々と残業をしていたときよりむしろ、仕事の質は上がるということもわかっていました。社員がサービス残業でいいといっても残業を認めません。こっちは仕事の質とスピードを要求しているのですから。
- 午後6時以降の残業禁止は、私が決めました。仕事が人生のすべてのような考え方は健全ではないからです。だいたい、社員が長時間労働に耐えることで製品のコスト競争力を上げるというのは、戦後の復興期の政策です。これからの日本は、インテレクチュアル・プロパティ(知的財産)やクリエイティビティ(創造性)で差別化を図っていかなければなりません。労働時間を延ばすというのは明らかに時代に逆行しています。
- 時間管理は手帳の使い方よりも、無駄な予定を入れないことにつきます。とくに、当社は午後6時以降残業は禁止。社長も例外ではないので、余計なことをやっている暇はありません。たとえば、何の準備もできていないのにとりあえず集まることが目的となっている定例ミーティングや、すでに決まっていることを確認するような会議。こういう予定は絶対に入れないようにしています。
- 6時に仕事を終えたあとに何をするかは個人の自由に任せています。大事なのは、オンとオフのけじめがあることです。そういう意識がないと、日本人は真面目なので、自分の時間をすべて仕事に注ぎ込んでしまいかねないのです。自分の時間はすべてビジネスアワーだと思って働けという経営者もいるようですが、私はそうは思いません。仕事と趣味と家族と過ごす時間の、どれが欠けても充実した人生は送れませんし、仕事一辺倒ではクリエイティブなヒラメキも生まれないでしょう。
- 一日に売り上げるハンバーガーに使用するパンを並べたら、東京から兵庫県の姫路市に達する距離に匹敵します。そのたった一個に小さな異物が混入しただけでもビジネスの歯車は一気に狂ってしまいます。高速道路をスポーツカーで走りながら石ころ一個に神経を使う以上の緊張感があります。私はこのスピード感やスケール感を社員に体感してほしくて、東京湾に14億人が泳いだらどうあるかというビデオまで作ったほどです。
- 外食産業はIT産業より動きが早いと言ったら、意外に思われるかもしれません。しかし、実際その通りなのです。だから怖い。IT業界ではユーザーが買い換えるのは数年に一度。だから、よそを向いている間に一瞬で世の中が変わってしまうということはありません。その点、外食業界では、お客さんは数秒で「これ食べよう」と決めます。マクドナルドの年間のお客さんは14億人。これだけの人々が数秒で選択し続けているのです。何かひとつ間違えれば、あっという間に変わってしまいます。
- 無駄な仕事を削ることで、新しい発想も生まれるはず。捨てるべきものは捨てながら進んでいかないと仕事の効率は上がりません。「6時以降は働くな」は前のアップルでも実施したこと。それでもビジネスが滞ることはありませんでした。むしろ仕事の質が上がる。そういう経験のうえで進めていることです。
- 本社では6時以降の残業は禁止としました。6時に帰れと言うと、みんな異口同音に「無理です」と答えます。しかし、禁止命令が出れば「どうやったら6時に帰れるか」を考えざるを得ない。そのことによって仕事の質が上がる。私の狙いはそこにあるのです。
- 会議のやり方も大幅に変えました。資料を配って1ページ目から順に説明していく会議は廃止。情報の共有化のための会議では意味がありません。会議は議論し決定するためのもの。資料は事前配布で、すぐ議論に入ります。
- 私はよく「1やって2やって3やるのではなく、1と2と3を並行してやれ」といいます。企画して市場調査してから実行していたら時間がかかる。新商品の発売にしても、リサーチ結果が出てからカタログや広告の印刷に取りかかったら遅い。「これでいけそうだ」と思ったら、仮説のもとに企画を立ててスタートしろ、ということです。たとえ、捨て金が発生しても、遅れるリスクよりは安い。リサーチは結果的に企業の質を検証するためにあればいい。そう考えているからです。
- 社員からのミーティングの要請があって私に時間がない場合は、固定的な予約にせず随時空いた時間を活用します。ですから、歩いている時間やエレベーターの中で社員からの相談に応じることも珍しくありません。
- ミーティングの申し入れは秘書の段階では全部受けます。「どんなに忙しくてもスケジュールがいっぱいですと答えるな。逆に、どんなに時間が空いていてもそのまま伝えるな」がルールです。プライオリティ(優先順位)は私にしかわからないので、最終的に私が取捨選択するためです。その決定を、毎日1から2回行っています。
- スケジュール表の中に真っ白な時間帯をつくること。用件の洪水をブロックして、予定の入っていない時間を設けておくことです。とくに1から2か月先の予定表にはそれが大切。状況の変化に対応するために時間的余裕をつくっておくことは必要ですし、経営者として大切な考える時間の確保という意味もあります。自分にとってプライオリティ(優先順位)の高い項目に時間を使うために、あらかじめ時間をブロックするという考え方は大切だと思っています。
- 私はメモを原則的に取りません。資料類もファイルはしない。ファイルというのは多分、何十年も開かれることがないものだからです。資料は見たらすぐ捨てる。私のデスクの横には捨てるためのバスケットが置いてあります。捨ててしまっても数字を覚えるのは得意な方なので、自然と頭に残ります。
- ボイス・メッセンジャーは要件をスピーディに伝達できるので、アップル時代から活用しています。たとえば、週末、どこかの街で急に用事を思い出したときなども、その場ですぐ秘書のボイス・メッセンジャーに伝達。メモしておいて週明けに忘れずに指示しようなどと考えるより、手っ取り早く確実です。
- レジが30秒短縮されれば、売上が5%伸びる。
- うちは薄利多売のビジネス。10人から10円ずつもらうのではなく、100人から1円ずつもらうのが、うちのビジネスのあり方。年間、延べ14億人のお客様がマクドナルドに来店するが、1人から1円ずつ利益が増えれば、年間14億円の増益になる。1円の差がビジネスを大きく左右する。それが薄利多売ビジネスの強みであり怖さです。1円の価値と14億円のスケール感を、同じように実感することができてはじめて経営しているといえるのです。
- どうやって消費者を驚かせてワクワクさせるかというサイコロジー(心理学)と、理詰めで考えて、その驚きを含めた顧客満足をマージン(利益)に変えていくサイエンス(科学)。経営には両方とも必要だと思います。
- 新たに獲得した顧客をどう維持し、その顧客満足度からどう利益を生んでいくかを考える。メニューや価格などの商品政策はポートフォリオ(全体の構成・組み合わせ)で考える必要があるということになります。驚かすことで新たな顧客を誘引する商品もあれば、マーケティングコストゼロで利益を生む商品もある。この組み合わせの結果、メニュー全体でマージン(利益)を生み出す構造を目指します。
- たとえば、新商品としてコーヒーを出すにあたってマーケティングリサーチをかけるとします。「このコーヒーはおいしいですか?」「販売が始まったらお買い上げいただけますか?」こんな調査をして何%の顧客に高い評価を得た。だからこの商品は売れますなんてことをやる。でも僕に言わせれば、こんな調査じゃ本当の顧客心理は何もわかりません。とくに日本人は礼を重んじますから、こちらが嫌がるようなことは言いません。
- 経営というのは、大きな組織集団を動かすことです。動かすためにはコミュニケーションが必要です。一番大切なことは、「複雑なことをどのようにシンプルに伝え、期待する行動に結び付けていくか」という視点です。
- 経営者の役割は、すべてのステークホルダー(利害関係者)を守ることです。社会的責任を果たしつつ、同時に従業員も株主も守らなければならない。事業を守ることも大事です。
- リスクマネジメントの要諦は、潜在している問題を顕在化させることです。そのためには経営者のリーダーシップが必要です。
- 目先の数字を落としてでも、将来の成長の足を引っ張るところは切っておく。元気なうちにです。つまり「手術で元気になる」ではなく「元気になったから手術を受けられる」というシーケンス(順序)なんです。
- 大切なのは「シーケンス(順序)」です。土台がないのに柱は建たないし、柱がないのに壁は張れません。ある戦術を実行するためには、その戦術が実行できるための環境を整えておかなければなりません。パズルをひとつひとつ組んでいくように、戦略実行のシーケンスを考えるのが経営戦略というものです。