シルバー川柳
2015/06/18
「シルバー川柳」は2001年に社団法人全国有料老人ホーム協会の設立20周年を記念してスタートしました。
高齢社会、高齢者の日々の生活等をテーマとして募集している「シルバー川柳」の入選作品をご案内します。
- 3時間待って病名加齢です。
- 70歳で年少組とはまいったな
- LED使い切るまでない寿命
- アーンして むかしラブラブいま介護
- あちこちの骨が鳴るなり古希古希と
- あの世ではお友達よと妻が言い
- あの世まで住基ネットに見送られ
- あれはそこそれはあそこにちゃんとある
- いたわりも耳が遠くてどなりごえ
- いつもビリ天国行きもビリで良し
- いびきより静かな方が気にかかり
- いらっしゃい孫を迎えて去る諭吉
- おい!おまえ!いつしか妻の名を忘れ
- オーイお茶ハーイと缶が転がされ
- おじいちゃん冥土の土産はどこで買う?
- おばあちゃんまだまだげんきでいてほしい
- オレオレと名乗って妻にすぐ切られ
- おんぶした子をリストラでまた背負い
- お医者様パソコン見ずにオレを診て
- お迎えはどこから来るのと孫が聞く
- お迎へと言うなよケアの送迎車
- お辞儀して共によろけるクラス会
- お若いわその一言でお得意さん
- お年ですそれが病気か田舎医者
- カードナシ。ケータイもナシ。被害ナシ
- カード増え暗証番号裏に書き
- ガガよりもハデだぞウチのレディーババ
- かじられたスネで支える身の重さ
- カルチャーに先輩顔の妻がいる
- クラス会食後は薬の説明会
- ケータイの返事をしようと葉書出し
- このごろは話も入れ歯もかみあわず
- この動悸昔は恋で今病
- この墓も入居間近とよく磨く
- これ大事あれも大事とゴミの部屋
- こんにちは笑顔で答えて名を聞けず
- ご無沙汰を故人が繋ぐ葬儀場
- さびしくて振り込め犯と長電話
- すらすらと嘘が言えますボケてない
- その昔恐竜見たかと問う曽孫
- その昔惚れた顔かと?目をこすり
- それあれで通じるまでの幾山河
- ダイエットやめて下さい年金様
- チョイワルもチョイヨボですネと妻が言う
- つまずいたふと見た床に段差なし
- つまずいた小石に歳を教えられ
- つまづいたふと見た床に段差なし
- デザートは昔ケーキで今くすり
- デパートで買い物よりも椅子探し
- どこで見る東京五輪天か地か
- とって見てやっぱり解らん年の功
- なあお前履いてるパンツ俺のもの
- なぜ消える眼鏡と鍵のミステリー
- なってみりゃあの年寄りは偉かった
- なれそめを初めてきいた通夜の晩
- ネクタイを捨てたら消えた肩の凝り
- バラに似て妻も花散りトゲ残し
- バラのよう枯れても妻はトゲを持ち
- ひ孫の名読めない書けない聞きとれない
- ホームとは人間模様の万華鏡
- ボールなげ孫にほめられちょっとてれ
- ボケ進む年金の日は忘れずに
- ポストまで迎えに来てる墓地チラシ
- ボランティアするもされるも高齢者
- マイケルの真似を発作と間違われ
- まだいけるもう一度だけ犬を飼う
- また一つプライド捨てて楽に生き
- まだ古希か米寿の兄は軽く言う
- まだ生きるつもりで並ぶ宝くじ
- まっすぐに生きてきたのに腰まがる
- メイドカフェ?冥土もカフェがあるんかえ?
- メモ帳のしまい場所にもメモが要る
- より添うて今は夫により添われ
- ワシ3高血圧、血糖尿酸値
- わたしの手ひっぱらないであの世から
- 愛してるじじの返事は馬鹿言うな
- 威張ってた上司地域で役立たず
- 遺影用笑い過ぎだと却下され
- 遺言を書いた安堵で長生きし
- 医院前紅葉マークの展示場
- 医者と妻急にやさしくなる不安
- 一日は長くて一年矢の如し
- 飲み代が酒から薬にかわる年
- 飲め飲めと差し出されるのは薬だけ
- 飲んだっけちり籠のぞき確認し
- 延命は不要と書いて医者通い
- 穏やかな老後を夢見た駄目だった
- 化粧する昔話も化粧する
- 化粧品ムダだと妻にまだ言えず
- 化粧品リフォーム詐欺と妻は言う
- 何回も話したはずだが初耳だ
- 家事おぼえ妻の手抜きが見えてくる
- 家族から戦力外と冷たい目
- 我が家にも政権交代夢にみる
- 介護され初めて気付く親不孝
- 介護保険掛け捨てにする果報者
- 介護保険満期はいつかとついたずね
- 改札を通れずよく見りゃ診察券
- 街鏡そっと猫背の老い伸ばす
- 還暦はシルバーシートを浅く掛け
- 還暦はもうとまだとを使い分け
- 還暦は鼻たれ小僧おらが村
- 眼鏡かけ眼鏡はどこだと妻に訊き
- 喜寿過ぎの浮気は妻に励まされ
- 期限切れ犬にやらずにオレに出す
- 起きたけど寝るまでとくに用もなし
- 久々ね訪ねし故郷は知らぬ街
- 居れば邪魔出かけりゃ事故かと気をもませ
- 居酒屋で出世払いのツケ利かず
- 共白髪まっぴらごめんと妻茶髪
- 驚いた(惚)ホれると(惚)ボけるは同じ文字
- 驚いたあの人あの年あの色気
- 金貯めて使う頃には寝たっきり
- 銀行は年金だけの縁となり
- 九十を過ぎても気にする中国産
- 景色よりトイレが気になる観光地
- 健康に粗食が合うと手抜き妻
- 検査あと妻のやさしさ気にかかり
- 見くびるな賞味期限は切れとらん
- 見栄張って杖は要らぬと傘を持ち
- 元酒豪今はシラフで千鳥足
- 原油高免許を返すふんぎりに
- 限界だ元号三つの齢計算
- 古希になお叱ってくれる母が居る
- 古希も過ぎ才女と言われてまだ独り
- 古希過ぎりゃ嫉妬もされぬ朝帰り
- 姑の句読点無い愚痴小言
- 五十年かかって鍋と蓋が合う
- 厚化粧笑う亭主は薄毛症
- 口づけも入歯ガクガク老いの恋
- 口喧嘩たまに勝っても待つ試練
- 口喧嘩相手なくして日の長し
- 骨が減り知人も減るが口減らず
- 混浴は足湯だったと友ぼやき
- 座る時立つ時ひざが手を頼り
- 妻が書く老後の計画俺イナイ
- 妻の愚痴お茶と一緒に軽くのむ
- 歳とれどなぜ口だけは歳とらぬ
- 三時間待って病名加齢です
- 残るのも先に逝くのもいやと言う
- 子は巣立ち夫は旅立ち今青春
- 指一本スマホとオレをつかう妻
- 紙とペン探してる間に句を忘れ
- 資産家は最期に親戚ドッと増え
- 資産分けすめばシルバー蚊帳のそと
- 持たされた携帯つまりは迷子札
- 持て余す暇を余裕と言い聞かせ
- 持病には医者顔負けの知識あり
- 時効など認めぬ妻の記憶力
- 次の世も一緒と言えば妻はNO
- 耳遠くオレオレ詐欺も困り果て
- 自分史が増える追記で終わらない
- 辞世の句なかなか出来ぬと長生きし
- 七夕や夫の願ひをそっと見る
- 借りた辞書拡大鏡も添えてあり
- 若作りした日に席を譲られて
- 若作り席をゆずられムダを知り
- 若者と料金同じ理髪店
- 主治医には内緒鍼灸まむし酒
- 手をつなぐ昔はデート今介護
- 手をひいたつもりが孫に手をひかれ
- 秋茄子のきらいな嫁で拍子ぬけ
- 暑いのでリモコン入れるとテレビつく
- 女子会と言って出掛けるデイケアー
- 少ないが満額払う散髪代
- 症状を言えば言う程薬増え
- 証人が一人もいない武勇伝
- 食っちゃ寝て豚ならとっくに出荷済み
- 食べたこと忘れぬように持つ楊枝
- 食事会薬でしめておひらきに
- 寝て練った良い句だったが朝忘れ
- 振り返り犬が気遣う散歩道
- 新党も肩書取れば老人会
- 深夜なる受話器とる前深呼吸
- 診察券五枚で週休二日制
- 身内より心が通う介護の手
- 人の字を真似て二人で支え合い
- 人格の格差広がる高齢者
- 人生の時間は減るのに暇が増え
- 人生も野球も最後はホームです
- 人恋し恋とは違う人恋し
- 世界一とうとう寿命だけとなり
- 世辞言わぬデジタルカメラの解像度
- 逝く日まで恋をする気の紅を買う
- 昔酒、今は病院はしごする
- 赤い糸夫居ぬ間にそっと切る
- 先寝るぞ安らかにねと返す妻
- 千の風きいて買おうか迷う墓
- 祖母の知恵教科書よりも役に立ち
- 足腰を鍛えりゃ徘徊おそれられ
- 孫が聞く膝が笑うとどんな声?
- 孫たちにアドレス聞かれ番地言う
- 孫優さしさっきも聞いたと言い出さず
- 体調の良い日は医者をはしごする
- 体力が落ちても押せる横車
- 退職後犬の散歩で知る近所
- 誕生日ローソク吹いて立ちくらみ
- 置き忘れ知られたくなく大掃除
- 着メロに軍歌を入れて歳がバレ
- 中身より字の大きさで選ぶ本
- 注目を一身に受け餅食べる
- 聴力の検査で測れぬ地獄耳
- 長寿者にひけつなにかと医者が聞き
- 長生きは幸か不幸か実験中
- 長生きをするなと政府に仕分けされ
- 長老に年を聞いたら俺の下
- 定年で田舎戻ればまだ若手
- 定年で働き蜂からおじゃま虫
- 定年にエプロン貰い嫌な予感
- 定年後引き算ばかり上手くなり
- 定年後関白の座をそっと降り
- 転んでは泣いてた子が言う転ぶなよ
- 妬ましや妻の犬への言葉がけ
- 糖尿病甘い生活記憶なし
- 動かないエレベーターや押し忘れ
- 突然に医者が優しくなる不安
- 二世帯を建てたが息子に嫁が来ぬ
- 日帰りで行ってみたいな天国に
- 日帰りで行ってみたいな天国へ
- 日本語に通訳の要る三世代
- 入れ歯抜け孫の茶碗へホールイン
- 入場料顔見て即座に割り引かれ
- 年だもの最後だわねとまたハワイ
- 年とると過去が多くて先き見えぬ
- 年の差がだんだん開く妻の謎
- 年をとり美人薄命うそと知る
- 年賀状書かねばあの世とうわさされ
- 年寄りに渡る世間は罠ばかり
- 年金と相談をして義理を欠き
- 年金にボーナス無いのと孫が聞き
- 年金に安・近・短の旅学び
- 年金の扶養に入れたい犬と猫
- 年金を親子でもらう家が増え
- 年重ねもう喰べられぬ豆の数
- 脳のシワ顔に出てると孫が褒め
- 脳みそに移し変えたい顔のしわ
- 白黒のネクタイで足りる定年後
- 白内障術後びっくりシミとシワ
- 八十路越え大器晩成まだ成らず
- 美しく老いよと無理なことを言う
- 百歳を世話するむすめ喜寿むかえ
- 表札で生きる亭主の三回忌
- 病歴はなしで話の輪を外れ
- 不出来な子ふるさと捨てず親を看る
- 不満なら犬に言うなよオレに言え
- 夫看取り我が身病めるを忘れがち
- 夫婦仲社会福祉と妻は言い
- 腹八分残した二分で薬飲む
- 腹立ちを仏に聞かすひとり言
- 物忘れ妻の叱咤で思い出し
- 物忘れ昔からだと負け惜しみ
- 分割じゃ食ってはいけぬ離婚やめ
- 聞き取れず隣にならって空笑い
- 聞くたびに話が違う若い頃
- 聞こえぬも心配風呂場の下手な歌
- 歩こう会アルコール会と聞き違え
- 補聴器をそっとはずして聞く小言
- 補聴器を外し無敵の父となる
- 呆けちゃった!難を逃れる名セリフ
- 亡き妻と一緒ならばと想う旅
- 亡き妻と朝は分け合う健康茶
- 忘れえぬ人はいるけど名を忘れ
- 忘れ物とりに戻れば又忘れ
- 忘れ物口で唱えて取りに行き
- 本性が出ると言うからボケられぬ
- 万歩計つけて帰りに車呼び
- 万歩計半分以上探し物
- 万歩計歩数のびるが距離のびず
- 味のある字とほめられた手の震え
- 味のない煮ものも嫁のおもいやり
- 未練ない言うが地震で先に逃げ
- 無年金食事のたびに愚痴言われ
- 無農薬こだわりながら薬漬け
- 無病では話題に困る老人会
- 目には蚊を耳には蝉を飼っている
- 目覚ましのベルはまだかと起きて待つ
- 優先席座って行き先山歩き
- 夕陽浴び花摘む妻の背のまるさ
- 欲しい物今じゃ優しさだけになり
- 欲しかった自由と時間持て余す
- 来てやった貰ってやったで五十年
- 来世も一緒になろうと犬に言い
- 離れ住む子らに病む日も無事と書き
- 流行語覚えたころはすたってる
- 旅行好き行ってないのは冥土だけ
- 恋かと思っていたら不整脈
- 老いて子に従うのにも一苦労
- 老の字にごの字ついた時代あり
- 老医師の過労気遣う老患者
- 老後にと汗した家で一人棲む
- 老後にと残した夢も夢のまま
- 老妻がホームで宣言主婦卒業
- 老人の記憶を試す特別便
- 老体に耐震補強か杖一本
- 老木は枯れたふりして新芽出し
- 徘徊と噂されて散歩を止め
- 躓いて何もない道振り返り